前回の記事では、「〇〇とはこういうものだ」という世間の常識や固定観念は、時代とともに変わっていく不確かなものなんだ、というお話をしました。
今回は、わたし自身が過去に一番強く捉われていた「〇〇とはこういうもの」という枠について書いてみたいと思います。
それは、「家族とはこういうものだ」と「良い親(良い母親)とはこういうものだ」という漠然とした固定観念でした。
■ 演じていた「理想の母親像」と、葬られていた本当の自分
実は、「こんな私が子どもを産んでいいものだろうか」という葛藤を感じながらの出産でした。
恐怖が8割での出産でしたが、初めての子が生まれてからは、葛藤とかもうすでにどうでもいいレベルで赤ちゃんのお世話が続き、「この命をなんとか日々繋ぐこと」に意識が向いていました。
それはそれで本当に良かったです。
赤ちゃんとの生活に慣れてきて、また少しずつ「こんな私が育ててこの子はどうなるんだろう」「どういう親が理想的な親なんだろう」と育児本を読んでいた時期がありました。
なぜか私の中には、
子どものために自分を犠牲にして尽くすべき
どんなときも子ども中心に家庭を回さなければならない
子どもをずっと泣かせてはいけない
寂しい思いをさせてはいけない
という「母親像」ができていて、それを実行しようと必死になればなるほど自分の感情を抑え込み、育児が事務作業のようになってしまった時期もありました。
振り返ってみると、あの頃のわたしは「母親という役割」をタスクとして処理することに必死で、「倉田知佳」という自分自身を生きてはいなかった(自己一致していなかった)のだと感じます。
(それを教えてくれたのは、生後数ヶ月でまだ喋れない頃の長男でした。)
自分を置き去りにしているから、心の中にはいつも余裕がなく、小さなことでイライラしたり、うまくできない自分を責めて苦しくなったりしていました。
■ 「良い親」をやめて、「自分」として生きる
そんな苦しさの中でふと気づいたのは、「私が思っている『良い親』って、本当に良い親なの?」ということでした。
私自身が自分の親に何を求めていたかというと、実はシンプルで、「楽しく生きてご機嫌なオカンでいてほしいな」ということだったんです。
「じゃあ、どうしたら私は楽しめるんだろう?」
私自身、息子がどうしてこんなに育児本に載っていない行動をとるのか不思議でしょうがなかったんです。
それを「どうしてできないんだろう」という不安や不満ではなくて、「この子はいま何をしたいんだろう」「何を言いたいんだろう」という興味の視点で生まれてきた子どもとの生活を見てみると、すごく楽しくなってきたんです。
そこからやっと、子どもの表情や「非言語(声のトーンや身体の動き)」が感じられるようになりました。
例えばそれまでは、
「子どもが泣いている」→「泣き止ませなきゃ!」
だったのが、
「子どもが泣いている」→「あ、もしかしたら今これが嫌なのかも」
と、彼が何を発しているかを見る余裕ができたんです。
私自身も、息子に自分の気持ちを素直に伝えるようになりました。
「今無理〜、ちょっと待って〜〜」
「へぇ〜!それ超おもしろい!写真に撮ろうよ!」
「わたし自身がどう感じているのか」「わたしはどうしたいのか」という本音を、息子に共有するようになったんです。
そこから、
「良い母親とか関係ないんだな」
「疲れたときは疲れたって言っていい」
「お母さんである前に、わたしも一人の人間なんだ」
と思えるようになりました。
標準や理想を求めるのをやめて、一人の人間として自分自身の気持ちを見てみたとき、不思議なことに子どもとの関係もものすごく楽しいものに変化していました。息子も表情が豊かになりました。
子どもが本当に求めていたのは、完璧に役割をこなすロボットのような良い親ではなく、笑ったり泣いたり困ったりしながらも、自分らしく心地よく生きている「等身大のお母さんの姿」だったのだと思います。
実は、私に「夕焼けの空の色」の素晴らしさを教えてくれたのは、この長男でした。
夕焼けなんて当たり前に知っているし、「夕焼けこやけの赤とんぼ」の歌も歌える。
でも、私は「夕焼けという言葉を知っていただけだったんだ」と、抱っこしていた長男が指さした空を見て、ぶわっと涙が出ました。
私が泣いていたら、息子はびっくりしていましたが、それも本当の私です。
だから「今、すごく嬉しいんだ」って、そのまま息子に伝えました。
■ 自分の気持ちを聞く時間は大切
子育てをしていると、どうしても「親としての役割」が自分自身のすべてになってしまいがちです。
もちろん、そうしないとやっていられない時もあります!
けれど、もし「良い親」になろうとして自分を押し殺しているとしたら、それはもしかしたら子どもにとっても自分にとっても悲しいことかもしれません。
あなたが「自分自身」を取り戻し、自分も子どもも尊重して日常を楽しく過ごせること。
それこそが、子どもにとっても一番の安心感になるはずです。
では、また次回のブログで。
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